わんこ☆戦争(2006.7.16) 暖かい午後の日差し。家でのんびりと読書なんかをしている、とある休日のこと。寄り掛かっていたベットの上で携帯が俺を呼ぶ。珍しく電話の方だった。 「ふぁ〜い、どちらさん?」 「あら、分かっていると思ったのに、私は名乗らなくてはならないのね。いっちゃん、お隣の双葉よ」 もちろん分かっていた。登録してある何人かは音で区別できるようになっている。電話に出るときの癖だ。 幼馴染みの双葉さんが、これも珍しいことに窓越しで電話をかけてきている。開ければ電話など必要ない距離だが、向こうの窓を閉めたまま、双葉は嬉しそうに手を振っている。白いワンピース。こんな夏日だ、暑いから開けたくないのかもしれない。 「お隣の双葉か、何? どーかしたのか?」 「ええ、少し聞きたいことがあったの」 双葉は窓越しに図鑑らしき本を見せる。そして、そこに書かれた絵を二つ指差した。目を凝らす必要もなくそれは見える。犬だ。 「いっちゃんはゴールデン・レトリーバーとラブラドール・レトリーバー、どっちが可愛いと思う?」 「……」 毛の長いゴールデン。盲導犬としても有名なラブラドール。どちらも大型犬で温厚、さらに人懐こい。だが、興味のない俺からしたらただの犬だ。 少し考える素振りを見せ、窓を開けた。何故こんなことを聞かれるかは、もぅ考えるのも面倒。双葉も電話を切り、窓を開けてくれる。 風に長い髪が煽られて、動く人形と化した双葉は可愛らしさが数段増す。ファンクラブの連中はこの状況にある俺を羨むだろう。 ほんの数十センチの距離から、図鑑を指差してやった。俺は満面の笑み。 「土佐犬」 「……いっちゃんの馬鹿っ!」 何か癇に触ったらしい。怒ったような声で双葉は窓をぴしゃりと閉め、ついでにカーテンまで閉めやがった。 ……あの双葉がそんな期待しているとは思えないが、お前が一番可愛いよとでも言った方が良かっただろうか? ☆ 本日の試合結果。わんこ勝利。 -レッツ☆ウォーtop- |